#RPGのジョブ考察
放課後、誰もいない教室に集まったいつもの面子4人。
机を4つくっつけて、1枚のルーズリーフを覗き込んでぶつぶつ言っている。
「だからさーやっぱ俺は剣士Typeだと思うわけよ」
「いやーバカ宗ちんはそういう正統派なかんじじゃないと思う...」
「伊達殿はなんというか...」
「悪人...ってか、なあ?」
「うん...」
「そんなかんじでござる...」
「なんでだよ!!」
4人はあまりにも暇だったので、自分たちをRPGの職業に当てはめると何になるか、を考えている。
言いだしっぺは誰だったか忘れたが、結構盛り上がっている。
ルーズリーフにはそれぞれの名前と職業候補が並べられている。この場にいない人間まで名前が書かれているあたり、4人の暇具合がよくわかる。
「じゃあなんだよ。お前らは逆になんだよ」
「俺様はやっぱり盗賊とかあ?」
「佐助は素早いからな」
「真田は格闘家とか、そんなかんじがするよな」
「あーわかるわかる。ってかバーサーカーみたいな?チカちゃんはなにかなー」
「俺もどっちかって言うと格闘系か?」
「筋肉だしね」
「というか、筋肉で分けるとこの4人全員格闘家になる気がするが」
「旦那が珍しく正論を...」
「じゃ、なんだよ」
「...漁師?」
「おお、漁師」
「漁師」
「漁師ィ?」
元親は腕を組んで考え込む。
「漁師っておま...職業だけどよ。しかもわりと現実的な」
「いいじゃん、生産性があって」
「そうだぜ。剣士なんか悲しいもんだ...非生産的にもほどがある...」
「なぜ伊達殿はあたかも自分が剣士であるかのような発言をするのだ」
「じゃあ、だから、俺はなんなんだよ!」
「...悪い剣士」
「悪いな」
「悪い」
「なんでだよ!!」
「とにかくバカ宗ちんは悪い、ということで」
「だからなんでだよ!」
「とりあえず決まったな」
「うむ」
「俺は結局悪い剣士なのか」
「じゃあ...悪い...えと...」
「悪い...うーむ...」
「...悪い人」
「あー!」
「それだ!」
「なんでだよ!!職業じゃねえよそれ!!」
ルーズリーフにぐじゃぐじゃと文字が書き込まれる。
まさむね:わるいひと
もとちか:りょうし
ゆきむら:かくとうか
さすけ:とうぞく
「ほい、できあがり」
シャーペンをくるっと回して、佐助が得意げに笑う。
「ひらがななのはファミコン時代を意識してるんだよ」
「濁点で1マススペースとられてた時代だな」
「懐かしいな。マリオは苦手だったが、RPGは得意だった」
「旦那はアクションがもうだめなんだよねえ」
「だせえな、真田」
「むう...」
「俺は結局悪い人なのか...」
続きます